塩の街―wish on my precious (電撃文庫)
良い話です。皆がそう思うはず・・・でも。
(2008-10-28)
本編の「空の中」と、文庫化で追加された「仁淀の神様」を一気に読んでしまったのですが・・・一気に読むと「仁淀の神様」は琴線に触れる人は結構いるのではないでしょうか?。僕は気がつくと・・・涙が流れていました。「仁淀の神様」は『反則』ですよ!。
「空の中」があっての「仁淀の神様」ですが、多分、ストーリー中にある『宮じい』の思考・感情は誰もが持っていて、それが生きざまとして格好よく、そうありたいと皆が思っているはず(特に男性は)。
しかし、今の自分を取り巻く環境がそんなことを考える余裕をくれず、自分自身が日常をこなすことに終始し社会の歯車と化していて今の今までそのことを忘れていた。今の社会で生活の糧の為に働く人にとって「なんて真っ当なことを言うのだろう・・・」と、今の自分の情けなさを噛みしめされてくれる・・・ガツん!と深いところにしみわたる本でした。
いや、マジで「こりゃ、川で漁師するしかないかな・・・」と真剣に思いましたから。
何回読み返しても、泣けてしまいます
(2008-09-29)
“未知の生物”とヒトの交流を描いたSFであり
人間の成長を描いたヒューマンドラマでもあり
(この作者の得意とする)ラブコメとも受け取れる小説です
ヒトは間違わずには生きていけない。
それに気付いた時に、どうするのか。
その道をすすむことを支えてくれる人は、モノは何なのか。
様々な背景を持つ登場人物の描写やセリフ
作者の出身地である高知県の自然や、航空自衛隊の描写などが
非常に緻密に丁寧に描かれており
“未知の生物”の設定が唐突なのにもかかわらず、違和感なく読めてしまいます。
文庫版の書き下ろしが世界感を更に深くしているので
これから読まれる方にはそちらをオススメします。
作者の“自衛隊3部作”の中でも、いちばん秀逸な作品だと思います。
空想の世界
(2008-09-24)
物語の内容が、途中から一変!
このようなストーリーは、賛否が分かれそうです。
ミステリー調で進行していく前半から始まり、中盤から「未確認生物」を中心とした、
ある種『ほのぼのと心温まる』展開に、そして後半はラブストーリーへと移行。
最後まで読ませる作品でしたし、単純に面白い。
未確認生物は、それぞれの読者の空想を大いに膨らませると思います。
そんな、今までには無い作品と言えます。
人生の喜怒哀楽が一冊に詰まっています
(2008-09-20)
物語は開発中の新型航空機と自衛隊機が相次いで原因不明の事故を起こすところから始まります.この事故の原因を探る航空機メーカの技術者と自衛隊員,そして,海岸で謎の生物を見つけた2人の高校生を交えて物語は展開してきます.
メーカ技術者と自衛隊員のやりとりのおもしろさ,人間と謎の生物との心温まる交流,そして人間同士の争いなど,笑わせられたり,ホロッとさせられたり,ハラハラさせられたりと非常に楽しめる一冊でした.是非どうぞ.
「大人の知恵」と「子どもの想い」
(2008-07-29)
本書を読み終えて、まず思ったのが、
「土佐弁、じかに聞いてみたい!!」というものでした。
高知出身の書評家・大森望氏が太鼓判を押し、
文庫解説では新井素子氏も激賞している本書の
土佐弁は、じつにみずみずしく、魅力に溢れています。
そうした言葉のリアリティに支えられることで、本作は、青春小説として、
類型に堕さない、確固とした強度を獲得したということができます。
また、キャラクター造形もツボを押さえており、F15Jの女性パイロット、
武田光希などは、押しも押されもしない、真性のツンデレキャラですw
いうなれば、著者の〈図書館〉シリーズに登場する、堂上の女版といった趣でしょうか。
(もっとも、刊行順でいったら光希のほうが「オリジナル」に当たるのかもしれませんが)
そして、作品全体を貫くのは、未知の知的生命体と粘り強くコミュニケーションし、
対立する意見を地道に調整していく「大人」と、純粋さと若さゆえの傲慢さにより、
道を誤ってしまう「子ども」の対比の構図です。
このようなテーマは、いささか図式的ではあるものの、慢性的に「大人」や
「社会」が不在になりがちなラノベ界においては、貴重な作風といえます。