最高の緊迫感
(2008-05-13)
ベトナム戦争の従軍記者としての経験を記した本です。戦争を経験し、それを記した本は多くありますが、本書は戦争体験を書いた本ではなく、前線において戦争を客観的に見つめる記者の目で描かれたのもです。だからこそ読み手にビシビシと緊張感が伝わってくるのかもしれません。開高氏独特の観察感と溢れんばかりのボキャブラリーによって、はじめてこれだけの緊張感を描くことができるのだと改めて感心しました。
またこの作品に戻ってきてしまう
(2007-12-30)
この小説を初めて読んだのは、25年以上前になります。
私はそのはじめて読んだ単行本を今も持っていて、2、3年に1度読み返します。
読み返すたびに、25年前と同質の迫力を感じます。
著者の視点は、ぺトコンと戦わされるベトナムの兵士たちにもに注がれます。
彼らはある瞬間にスイッチが切れたように反応しなくなります。それは自らの
意思さえも入り込まない拒絶の表れです。
そういった彼らとの付き合い、彼らの死。著者は戦闘に同行し命を落としかけて
いますが、銃を所持せず、あくまで傍観者として彼らの死を見続けます。
私は滅多に小説を読み返しませんが、この作品だけは何回も読み返しています。
臭いがする
(2007-10-26)
開高健を、ただの釣り好きの美食家のように思われているとしたら、本書はその認識を根本的に転換すること間違いなし。
ベトナムという地で、遠く1975年まで戦争が行われていたことを、今は忘れてしまっているとしても、まるでその場にいるかのような圧倒的な臨場感が吹き飛ばしてしまうような、臭いが、音が聞こえてくるようなリアリティーを持つ作品。
開高健が好きなら決して外せない、ベトナム戦争に興味があるなら極めつけにお勧め。まして両方なら、決定的にお勧めです。
言葉で言い表せないもの
(2007-09-14)
ほとんど文学作品は読まない私が読んでいる数少ない作家の一人。プラトーンを久しぶりに見たから惰性でこの本も読み返す。全然ジャンルも内容も違うけど、出だしを読み始めて「限りなく透明に近いブルー」を思い出す。言葉の言い回しなんかがふと似ているように思った。但し1ページ目だけですが。秋山駿が書いている後書きの解説に「これはたいした作品でない云々と三島由紀夫が言ったとか・・」と書かれていますが。こんな文章を見るにつけ、やっぱり俺は三島由紀夫なんかは読む気にならんなあと改めて思ってしまう。人生に対する美学が全く違うもんね。ただこの本は正直なんともいえない書物です。このあと段々と「オーパ」路線に行ったような気がするのは僕だけでしょうか?
命日が2つあるそうです
(2007-04-06)
開高健先生は秋元カメラマンと文字通り生死をともにした仲であり、その時にお二人で、われわれの命日としようと決められたそうです。それ以来、お二人は命日が来ると酒を朝から浴びるように飲んでおられたとか・・・・。
私も友人と海外で会社そのものがライバルに売り飛ばされ、3/1から新しい会社(ライバル社)に名前が変わりました。折しもオリンピック開催の年であり、2/29が存在します。私は友人と開高健先生のアイデアを盗んで、我々二人の命日と決めており、それ以来、その命日では二人だけでハメを外しております。開高先生も秋元カメラマンもお二人とも本当の命日をもっておりますが、天国でもあの調子でやられているのでしょうか?
ぜひそうであって欲しいと願わずにはおれません。開高先生の作品はどれも内容が高く、何から子供に読ませようかと悩むこのごろです。