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夏の闇 (新潮文庫)


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  • 開高 健
  • 新潮社
  • グループ:Book
  • ランキング:3914
  • 価格:¥ 460
  • 発売日:1983-01
  • 通常24時間以内に発送
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カスタマーレビュー 総合評価:

時代は常に変わっている  (2008-12-17)
・・たった今し方「名作」と誉れ高い本書を読み終えたところだ・・・
正直に書こう、全編に漂う言いようの無い「やるせなさ」「よるべなさ」とでも言えるであろうか・・一言「退屈」だった・・・
開高の時代は、既に終わっている。時代は常に「変化」しており、「怠惰」を生きる生きられる「時代」では最早ないのである。これからは、「漂白」の時代になるのではないだろうか・・・
深刻な「リストラ」相次ぐ「自殺」卑劣極まりない「殺人」潜伏する「偽装」横行する「詐欺」・・ETC。
開高は後に、自ら行き詰まる「文学」から足を洗い「フィッシュ・オン」へと変貌する・・その「中間点」が、本書ではないだろうか・・そう思えてならない・・謂わば、蝶へ脱皮する前の蛹の状態(段階)が本書ではないだろうか。まあ折り返し地点に位置する意味では、本書は「重要」な作品ではあると思う。
だが、遅れてきた一開高ファンとしては今度は開高が晩年に残した「珠玉」を読んで、それを改めて確かめたいと思っている。

「当時の男」と「普遍的な女」と  (2008-03-02)
 ベトナム戦争が行われていた頃に、進歩的文化人が現れて、人ごとに「お前は何もしなくていいのか」と叫びまくった。国中がベトナム戦争への個人の対応を巡ってヒートアップしていた。全人類的な言い方で、人々に「反米運動」をせまっていた。他国の戦争に。いまはどうか、イラクは?アフガンは?パレスチナは?
 ベトナムでの取材を経て無気力になった?目の前で人が殺されるのを見てくれば、それは衝撃かもしてない。しかし、それは普遍的な衝撃なんだろうか?
 この作品がすぐれているのは、圧倒的な日本語の表現力に尽きると思う。素晴らしいと思う。かれがもう一度ベトナムを目指すのは、正義感、義務感というものではない。血の流れる現場か阿片の現場にしか実存し得ないかれの精神構造からだ。「当時の男」と「普遍的な女」が同一時制で、かみあう筈もないのだ。
 

「輝ける闇」と「夏の闇」。開高健の代表作はこの2作だと思う。  (2008-03-01)
もちろん、この「夏の闇」だけ読んでも素晴らしい作品であることに変りはないが、やはり「輝ける闇」を読んでから読むべき一冊だろうと思う。

主人公の「私」は何故怠惰な生活を送るのか、沈殿してしまうのか、絶望しているのか、そんな自分を嫌悪しながらもそこから抜け出そうとしないのか。そして、何故ベトナムに戻ることを決めたのか。その理由が、彼のベトナム戦争での経験にあるのは「夏の闇」でも触れられているが、経験そのものを作品化したのが「輝ける闇」だからだ。

「夏の闇」を読んでから「輝ける闇」を読み“だから「私」はこんな生活を送るようになったのか”と感じるよりも、“「私」がこんな生活を送ることになった必然性を理解したうえ”で、この作品を読む方が、より「私=開高健」の闇を感じることができるように思える。

開高健の文体は力強く男臭い。文章から開高の体臭が漂ってきそうだ。

この作品の舞台はドイツである。著者が、南北ベトナムに対する東西ドイツという意味でそうしたと勝手に推測しているのだが、わたしが勝手に抱くドイツからイメージされる色の「灰色」、そして、どんよりとした灰色の空。そんなイメージを抱く舞台で、心の闇を抱えた男と女の生活が濃密な文体で描かれるこの作品、読み終わった後の疲労感はかなりのものだ。

わたしが最も繰り返し読んだ著者の作品は「オーパ!オーパ!」だが、やはり彼の代表作は「輝ける闇」と「夏の闇」。この2作だと思う。

読んでおくべき本の一つ  (2007-12-22)
開高先生の著書は、読んでおくべき本だと思っている。私も先生の著書を片っ端から読んで読んで読み漁った経験がある。
とにかく先生の描く世界にどっぷりとはまり、抜け出すためにまた読むといったことを繰り返していた。
私は迷った時に開高先生の本を手に取り、また池波正太郎先生の本を手に取るなど、両先生に何度も慰められたり、励まされたりしている。
自分自身の経験から息子にも読ませるために開高先生の全集を目に付くところに置いている。

それでも、人間は生きる。  (2007-03-13)
私小説は書かないと公言し、寓話小説を書き続けた開高健。

しかし、ベトナム戦争の現場で衝撃を受け私小説を書き始めた。
この本はより私小説としての色が濃厚になった「輝ける闇」の連作である。

「夏の闇」で特筆すべきは、選び抜かれ洗練された言葉と
鋭く真理を突いたストーリー。

恋愛小説として語られる事もあるが、恋愛も人生の一部と
捉えるのであれば、私はそれに反対しない。

醜い部分はオブラートに包まれがちなものであり、
「恋愛」のそれを剥がすと非情な真理が現れるのである。
それを目にしたときの衝撃は、計り知れない。

前作を読まずとも入り込めるので、
この素晴らしい言葉と真理の結晶を是非手にとって頂きたい。
間違いなく、日本文学の最高峰のひとつと言える傑作である。
私はもっと若いうちに手にしておけばと後悔している。

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