秘められた深い悲しみ
(2005-03-14)
ユダヤ人ゲット、トルチェッロのモザイクの聖母像、<治療の見込みのない病人>、コルティジャーネ(高級娼婦)、レデントーレ…。
在りし日の友人たちの思い出に導かれながら須賀敦子が描き出したヴェネツィアは、一般的なガイドブックが伝えるヴェネツィアとは、だいぶ趣を異にする。彼女のヴェネツィアを一言でいえば「深い悲しみと慰めの場所」。じつは、彼女が人生の一番辛い一時期をどうすることもできずに無為に過ごした場所が、ヴェネツィアであった。ここに表象されたヴェネツィアは、彼女自身の心象風景でもある。
ヴェネツィアの違う側面が見られます
(2004-02-02)
私は須賀さんの書く文章がすごく好きだ。
飾り気のない言葉で、それでいて深い言葉で書かれた文章だ。
この本はヴェネツィア(一部、ローマやフリウリ地方についても)について主に書かれており、ユダヤ系の人々や娼婦などについて書かれている。イタリアに関して書かれたエッセイは山ほどあるが、こんなに考えさせられるような、読み終わっても頭にこびりついて残るようなエッセイは彼女にしかかけないと思う。
普段、私たちが見る事のできない「イタリア」という社会の違った一面をのぞくことができると思う。今すぐヴェネツィアに行きたくなってきた…
文章が心にしみます
(2003-07-24)
今年になって須賀敦子さんの本を続けて読み始めたのだが、文章が本当にこちらの心にしみてくる。かなりひらがなの多い文章だが、心のままを誠実に書いているのがこちらに伝わってくる。
最近はイタリアというとパスタやグッチなどのブランドもばかりに関心が行きがちだが、須賀さんはイタリアの中でもいわゆる負け組(私はこの言葉大嫌いなのだが)の人たち、貧しい人やユダヤ人などに目を向ける。特にこの本ではローマやヴェネチアのユダヤ人と娼婦について語っている。そこらのイタリア本とは一線を画す、すばらしい本です。