幸福は義務の中に。
(2008-09-13)
『夜間飛行』と、
『南方郵便機』の二作。
『星の王子さま』と並ぶ、
サン=テグジュペリの代表作である『夜間飛行』は、
彼を作家としての確固たる地位に押し上げた。
まだ、飛行機で飛ぶことが、
今ほど安全ではない時代に、
自らもパイロットして労働していた作者が、
そのストイックなまでの、
郵便航空機の世界を、
詩的な文体で綴った物語。
「幸福は義務の中に」、
そう言える労働が、
ほとんど失われた時代に、
あこがれてしまうような、
郵便飛行に携わる人々の姿勢。
クールであり、
情熱的な向き合い方に、
強く惹かれていく。
『南方郵便機』は、
サン=テグジュペリのいわゆるデビュー作。
訳者は、
『夜間飛行』以上に優れた作品と評している。
いつ還らぬ人となるかわからない、
危険な仕事に従事する郵便飛行士たち。
未知の航路を開拓しつつ、
彼らは郵便を届け続ける。
その危険な労働は、
命を落とすことも少なくなかった。
作者の自伝的要素の強い作品で、
恋人(不倫・・・?)であるジュヌビエーブとのくだりは、
なんとも言えず、
切なさと、甘いあこがれとを伴っている。
訳者同様、
読みにくさはあれど、
僕もこっちのが好きかもなぁ。
艶のある時間が過ごせます
(2008-09-12)
艶のある文章。読みすすめるとページから香気がてはじめる感じがする。 詩的とはこんな感じのことかもしれない。ロマンと刹那さと生きざまがあります。
活字には人を潤したり、かわかしたり、することができることを知りました。 しっとりとした気分になれました。
作者の高貴さに感服しました
(2006-06-27)
以前から愛読していた本でしたがもう一回読み直してみて、この人の気高さに
心を打たれました。死をかけて、恐れを知らないように夜間の飛行の任務
を遂行する飛行士達。それを支える支配人のリヴエール。まるで人間の
感情がないかのように支配し、命令する人。だけど、この人の失敗を物とも
せず次の成功への因にしようとする不屈の信念。内面は温かい感情があるのに
それを決して見せずに、評判や世間体の罵詈雑言にも不動だにしない信念
を持ち続ける、自分の信念を曲げない高貴な精神で自分の信念を貫く強さ。
私は同じ人間であるならこの人のように高貴で、強く生きて生きたいと
強く実感させられた本です。この人があんなかわいいピュアで子供の
心を持った「星の王子様」を書いた作者であることに驚きを隠せない。
こんな高貴な心と子供みたいな純粋な透明な心を持った人間になりたい。
この人は行動の英雄でもあり精神の英雄でもある。底が見えないほど汚い
人間もいる中でこの人は希望を与えてくれる。同じ人間でも愚者にでもなれば
聖者にでもなれると。この人の偉大さは思想なんかではない。
精神と心の偉大さである。是非読んでもらいたい名作です。
ゲランの香水
(2006-03-12)
「星の王子様」を書いた サンデグジュぺリのもう一つの傑作。
夜間に飛行する郵便機を巡る高貴な悲劇である。主人公は郵便機の優秀なマネージャーとして 無私の気持ちで 業務上の決断を次々と行っていく。その「無私」は時として冷酷非情なる様が ドキュメンタリーの淡々とした筆致で描かれていく。その様は 最近の企業のリストラを思わせるものがある。主人公にとって唯一絶対のミッションは 郵便機の予定通りの飛行であり それ以上でもそれ以下でもない。それをシンプルにこなしていく様は 誠に冷徹である。
しかし それを「無私」で行っていく姿勢に 我々は非常に感銘を受ける。まるで侍を思わせるものがそこにあるからだ。そうして 主人公の気高さが全編を覆い包む。ゲランが香水に「夜間飛行」と名付けたのも良くわかる。実に香しい話である。
この話は優れた組織論であり その意味で 例えば新入社員の教材にも向いている。勿論 こんな意見は余り皆様の御気には召さないと思うが。
最後の一文
(2005-07-10)
「星の王子様」の延長で読んでも響かないかもしれません。本書は、作者の実体験に基づいたドキュメンタリーでありながら、かくも幻想的な世界へと読者を誘う出色の物語です。しかし、「童話」という言葉が常に伴っているやさしさをここに見つけることは困難です。
登場人物の心情描写に貫かれている厳しさ、孤独感のようなものを常に感じながら読み進めてたどり着く最後の一文が、この作品の凝縮された主題だと思います。