予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
交通工学の本であるとともに、人間心理の事例集でもある楽しい本。
(2008-12-19)
おもしろい! 渋滞はなぜいらいらするのか、車に乗るとなぜ人格が(悪い方に)変わるのか。人を型にはめて判断してはいけないと普段は言っている人が、車については妙にドグマチックになるのはなぜか、道を増やしても交通渋滞が減らない理由、カーナビのジレンマ(いちばんいいルートをカーナビが選ぶと、そこに車が集中してかえって遅くなる等々)、車線合流はどうするのがいいのか。どれも車でありがちな話を、心理学や交通研究から軽妙に説明した非常に楽しい一冊。
最近、行動経済学系の本がたくさん出ているけれど、本書はそれらの基礎にある知見を経済行動以外にもあてはめてみせた(部分もある)、ちょっと目先の変わったしろもの。本書で述べられている、人々のリスク判断とその歪みなどは、他の分野でも大きく効いてくるもの。本書を読むことで、行動経済学的な話も理解しやすくなり、視野も広がる。もちろんどれも決定的な答えがあるわけではないし、渋滞からぬけられるようになるわけでもないけれど、でも人は理由がわかると苛立ちが少なくなるとは本書でも指摘されていること。なぜ自分が渋滞で頭に来るかわかれば、多少は心も穏やかになるかもしれませんぞ。
交通という異常状況での心理学
(2008-11-29)
人間が通常の、100倍のスピード、100倍の攻撃力、100倍の守備力を持ったら
どうなるのでしょうか。
また、視覚が遮断され(前の車の中の人は見えない、後ろの車はほとんどど見ない)
聴覚も意味をなさない(互いにクラクションでしか応対できない)匿名的な世界に集まれば
人は何を感じ、どのように行動するのでしょうか。
そのような世界は原始時代のようでもあり、また現代のインターネット時代に通じるものも
あります。
インターネットの中での名前がハンドルネームというのも何か意味ありげにすら思えてきます。
この本のなかでは、このような異常状況での心理学が特に興味深く感じますが、
その他各国の交通事情、歴史(文革時代は赤を進め、青を止まれにしようとしたそうです)
等についてユニークな驚愕、爆笑ネタ満載です。作者の力量は相当なものです。
好奇心旺盛な方には、是非お勧めしたい作品です。