文学部をめぐる病い―教養主義・ナチス・旧制高校 (ちくま文庫)
秦郁彦、いよいよ真骨頂!
(2005-06-12)
実証研究の優れた蓄積を持つ秦郁彦が、ついに「趣味」の世界にも進出か?と思ったら、この本はなんと、「官僚制」や「学閥」研究の出発点とでも言うべき「旧制高等学校」についての、手頃な概説になっている。右翼も左翼も、恐らくはこの「しがらみ」からは自由にはならなかったのではないか?同窓や先輩後輩関係が、複雑に絡み合って昭和政治史が構成されていったんだなということを、平易に解き明かす本。現代日本の学閥問題解体の在り方も、この本の行間で示唆されていると読んだのは、チョイ深読みが過ぎるか……?とにもかくにも、昭和史にまた、お薦めの一冊の登場である。
旧制高校の伝説と実態
(2004-01-26)
懐古主義で語られる事の多い旧制高校だが、実際のところ、その難易度、複雑多岐にわたった制度、時代背景を冷静に分析した一冊。数々のデータによる検証は頭が下がる。ただ、個人的に期待していた旧制高校独特の破天荒なエピソードが多くなかったのが残念。それについては他の本を参照しよう。