竹島問題を理解するには、欠かせない一冊
(2008-07-29)
竹島に関する問題がまたニュースに登場することが多くなってきましたが、本書はこの問題を理解する上で必要な基本的な知識を提供してくれます。複雑な歴史を様々な資料を丹念にしらべることで紐解きながら、竹島の領有問題に正面から取り組み、可能な限り事実を明らかにするという意味で公平な姿勢を貫きながら論じています。国家の主権に関わる問題でこのように冷静に客観的に丁寧な分析ができている本は意外に少ないため、本書は貴重な一冊といえます。
本日、たまたま、米政府機関の地名委員会(BGN)が竹島について、韓国領ではなく「主権未確定地域」(Undesignated Sovereignty)として表記したというニュースが流れていて、米国務省のガイエゴス報道室長が「(竹島領有権問題については)日本と韓国との間で平和的に解決されるべきで、米国としてはいずれにも肩入れしていない。表記の変更は、こうした立場と整合性を持たせるために実施した」と述べ、米国がこれまで竹島を韓国領と認めていたわけではないことを強調したことにたいして韓国では大騒ぎになって猛抗議しています。このようなニュースとつき合わせながら読むと、本書の理解はより深まるし、本当の問題はどこにあるのかということも見えてくるようになると思います。
「竹島問題は単なる領土問題ではない」という筆者の指摘は的を得ています。都度適切で理性的な反論を行うことなくこの問題に無関心でいることは、良いことではありません。
現代の日本は、憲法によって武力による国際紛争の解決を放棄していますから、真摯に客観的な事実を調べ、言論によって適切な主張を行って平和的に紛争を解決してゆくしかありません。そのためには、多くの日本人が、隣国との間に紛争が存在するという事実から目を背けず、まずは適切な資料を読んで知識を得るようにすることが大切だと考えられます。本書は間違いなくそのための助けになります。
結論を端的に言えば
(2008-02-11)
李承晩ラインの設定が早計だっということ。
その象徴が架空の島、「波浪島」を国際文書に載せてしまったことであろう。
過去の歴史を十分に顧みずに
焦った故の汚点だと言うことである。
内容自体は、過去の論点をきれいに整理しており
竹島の領土問題について意識の低い我が国の若年層等への
よい啓発書になると思う。
事なかれ主義の外交の結末
(2006-07-22)
いま話題の竹島。日韓がその領有を巡って争っている。韓国側は軍を動員して、領有権を誇示しているのに対し、日本は事務レベルで対応している。本書はこの竹島を巡る江戸期からの外交史を古文書をもとに解説している。読み進むうちに日本は250年余前から如何に外交がへたくそであったかがよくわかった。当時の幕府は竹島が日本の領土であろうがなかろうがどうでもよかったわけで、竹島の領有は鳥取藩の問題だった。そんな状況下に付けこまれて、朝鮮側にあっさりと領土宣言されてしまう。これは現代の状況とそっくりではないか!すでに日本は負けているのである。竹島を日本の領土と言うならば、侵犯された時点で自衛隊を派遣、取り返すべきではなかったか?弱腰外交の熟れの果てと思う。本書は竹島について学ぶには良い1冊である。しかし、歴史の羅列と文献比較に終始しており、タイトルについての著者の結論が見えない点が惜しい。
基本的な事項をよくまとめている
(2006-06-04)
最近の教科書でも「韓国の不法占拠」と書かれるようになった竹島。
日韓関係の最大の問題である竹島はどちらの国が領有すべきか。
主に歴史的な領有関係を中心に論を進めた書である。
竹島は飲み水も確保できない絶海の無人島である。
そんな島なので近代になるまで日本・韓国のどちらも関心が殆どなかったのは当然といえば当然である。
まず複雑なのは島の名称。時代によって「于山島」「松島」「竹島」それぞれの名称と島の対応が錯綜する。史料を読むにもどの名称がどの島を指しているか慎重に読まなければならない。そこに鬱陵島やその附属する岩礁、架空の島が出てきてかなり難しい。
さらに近代になると日韓の政治的な問題も絡んでくる。
1905年の日本の島根県編入宣言。1952年の李承晩ライン。
無人島であっただけに、近代以前の所属関係を明確にすることは難しいであろう。
だが、実際に竹島問題を複雑にしているのは歴史的な問題でなく、政治的な問題、さらにいえば感情の領域の問題である。
韓国の主張には根拠がない。
日本は韓国に無関心である。
この両国の姿勢が問題であると著者は主張している。
私も基本的に賛成である。歴史的に根拠があれば領有を認めるというわけではないが、韓国の主張はあまりにも我田引水である。
日本政府も最近は竹島問題を国民にアピールするようになってきたが、それまでは問題が存在しないかのように振る舞ってきた。
日本に北方領土を除けば領土問題はないといわれてきた。
それは極力隠されてきただけであり、竹島問題・尖閣諸島問題とシーレーンや資源開発と関連して近年注目を集めるようになった。
感情的にならず、しっかりとした議論が進められることを期待している。
強引な論理展開が目立つ
(2006-05-14)
1905年前に韓国は竹島を認識していなかった、認識していたのは鬱陵島だけだったというのが、筆者の主張である。江戸時代の部分では説得力のある展開だったが、1905年に近づくにつれ筆者の論理に強引さが目立ち、いまひとつ説得力を欠く。
あと文章がこなれていないので、読みにくい印象を受けた。