ヨーロッパの都市を考察するうえでは多くの示唆に富んでいる
(2010-01-04)
本書はヨーロッパと題されているが、著者が住んでいたイタリアとフランスが中心である。そういう意味ではヨーロッパの都市全般を論じている訳ではないのだが、逆に捉えれば著者がよく知っている国の都市をベースに分析されているので、その意見には説得力がある。著者の見識は高く、都市をみる目が本を読むだけで鍛えられる印象を受ける。著者は、コルビジェなどのモダニズムをどうもあまり好ましくないと思っているらしく、婉曲に批判している。代わりにアール・ヌーボーなどの装飾的な意匠が好みらしい。そのような視点はあまり一般的ではないかと思われるが、それはヨーロッパの美しくない都市の分析にも通じていると思われる。ヨーロッパの都市を考察するうえでは多くの示唆に富んでいる良書だと思われる。
近代都市計画とは異質の都市デザイン
(2009-02-15)
本書は建築芸術学の研究者による、ヨーロッパ、特にイタリア・フランスの都市の美しさを考察したエッセー集です。
都市の造形が語られるとき、今日では普通、都市計画や景観論的な観点からトータルデザインとして語られることが多く、そのために高さ規制によるスカイラインの統一や、色彩・テクスチャの統一、土地利用規制など、計画的な統一性とバランスが求められがちです。しかし、本書で紹介されているイタリアの丘の上の昔ながらの小都市やローマの広場、噴水、パリのパサージュやアールヌーボー建築は計画的なものではなく、各時代ごとに表現された建築物であり、美です。本書はその特徴をスポンタオーネ=イタリア語でたくまざるうまさ、自然な感じのおもしろさ、とよんで評価しています。本書で紹介されているこれらの国々の美しい都市には、計画的な土地配分もまっすぐな道路も統一されたスカイラインも無いことを考えると、近代都市計画や景観論とは別の都市デザインのあり方もありうるのだなと気付かされます。
美しいのにはわけがある
(2008-08-12)
その問いかけに対する答えは、本文から抜粋して引用。
「それは、市民の美的なものへの関心が高いからである。日本では...(以下、本書をお読みください)」
本書の前半はタイトルどおりヨーロッパの都市の紹介や分析など、専門的になりすぎずバランス良く書かれており、後半は、建築論から、デザイン、都市計画にいたるまでその議論の幅をひろげている。
僕らも、もう一度自分の生活している場所、仕事している都市を見つめ直した方がいいと思わせる本。
日本の地方都市はどこに行っても同じだし。